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映画と観劇の記録

『ロミオ&ジュリエット』@赤坂actシアター 感想②―キャスト別【ロミオ編】

ミュージック『ロミオ&ジュリエット』感想その二でキャスト別感想。

全体のことはこっちのエントリーで↓
lemonginger01.hatenablog.com


観劇慣れしてないもので、Wの組合わせをどうしたら良いものか全く分からず困りました。余談ですが、レミゼとか組合わせ多すぎて何がなんだか訳がわからないことになってますね。それよりはマシなんでしょうか。


驚いたのが、ロミオとジュリエットの組合わせ、ロミオと死の組合わせ等々……どのキャストの組合わせかでここまで感想が違うということ。
色んな組合わせで見たくなるじゃないか。


私が見た組合わせは
①古川生田平間馬場渡辺大
②古川木下平間矢崎渡辺宮尾
③大野木下小野矢崎広瀬宮尾
(敬称略)
でした。


印象的だったのが、ロミオの古川さんはジュリエットによって全く印象が変わったこと。
あえて演じ方を変えているのか、それとも、たまたまだったのか……。


①観劇直後のツイートがこれ↓↓

それに対して②観劇後のツイートがこれ↓↓

①直後の感想がWヒロインって何だ。でも確かにそう感じたんですよね。不思議なことに②だとそんなこと一切感じなかった。


けれど、ジュリエットの木下さんはロミオが変わっても印象は変わらず。
大野さんや生田さんはどうだったんだろう。
とても気になります。


そんな感じだったので、個々のキャスト感想といっても、この組合わせはこうでこの組合わせはこうだったというのもあります。



以下キャスト別に詳しく


ロミオ(古川雄大/大野拓朗)
古川雄大

二回の観劇で全く印象が違ったロミオ。
共通していた印象の一つは母親似の美人かつ自分が美人なことを自覚してるんだろうなっていうこと笑。

もう一つは闇属性ということ。二幕は狂気に満ち溢れている。古川ロミオと大野ロミオを比較するとギョッとするほど狂気を感じるロミオだと思いました。



まず①(生田平間馬場渡辺)での印象は、かなりぽわぽわしてるロミオ。
観劇直後のツイートはこんな感じ。
↓↓↓




直球で「ブロンド」ってツイートしてて自分でもびっくりした。どんだけ頭ぽわぽわに見えていたんだ。そしてやっぱりWヒロインってなんだ。


でも今思い返してもWヒロインだったんですよね、不思議なことに。
後述しますが生田さんのジュリエットが少年のようだったことが要因だったのかなと思います。
そして、この時の古川ロミオは少し子供っぽい女々しさ、もとい幼さが強調されていたように感じられました。ザ・頼りない男。


印象に残ってるのは神父様から結婚の許しが出たシーンで甲高い声をあげて抱きついたシーン。
喜びが子供っぽい爆発のさせ方。

また、追放を言い渡された後に神父様のもとで身を隠している時に座って項垂れているのですが、まさかの内股。長くて細い足が強調されていましたね。
そして初夜を迎えた朝の「さよなら」の言い方。
「さっ、さよなら(早口かつどもる)」
ジュリエット、あなたの夫これで大丈夫?って思わないでもなかった。

生田ジュリエットが逞しく聡明な雰囲気だったので、生田ジュリエットちゃん古川ロミオのことお姫様抱っこして駆け落ち出来たんじゃない?
とか
ベンヴォーリオもロミオのことお姫様抱っこしそうな勢いなんじゃ……今思い返してもそんな感じのロミオでした。


古川さんの顔がどちらかといえば中性的なので女々しい要素があると冗談じゃなくなるんだなあとか本気で思ってしまった。



その一方で死との舞踏のシーンは鬼気迫るものがあり、ぽわぽわロミオとのギャップが怖かったです。ぽわぽわしてるのに心に闇を抱えていて、薬売りの憎しみ~エメのリプライズとか完全に目が据わってました。怖い。



次に②の印象はお兄さんロミオ。二回目だったので一回目と比較した感想になってしまいますが、少なくともWヒロインではなかったしジュリエットにお姫様抱っこされそうもなくベンヴォーリオにもお姫様抱っこされそうもないロミオ。ちょっと安心した笑。このロミオはちゃんとジュリエットをお姫様抱っこできるロミオでした。
観劇後のツイートはこんな感じ。
↓↓↓

この時のロミオはしっかり者で、印象的だったのが「僕が(キャピュレットとモンタギューの争いを)止めたのに!」という最初の台詞が白々しくなくて本当にその場にいたら止めに入っていたんだろうなと思った点。
前回は「いや無理だろ」って思ったのに。最初からなんだか印象変わったなあと思いました。

そしてそのまま一度もWヒロインと感じることもなく終幕。
神父様の所に身を隠している時も内股じゃなかったし、「さよなら」も前回より情けなくなかった。


個人的な好みはこの回のロミオの方。
Wヒロイン状態のロミジュリはジュリエットの男を見る目に疑問を持ってしまうので笑。

それに加えて、こちらのロミオは♪街に噂がのシーンでロミオが仲間たちに争いの愚かさやら和解やらを訴えかけているのが「もともと思っていたこと」を思い切って訴えかけてみた、信念のあるロミオに見えた。

ぽわぽわしすぎると、頭がお花畑で世間知らずのお坊ちゃんだから平和を願ってるみたいに見えちゃうんです。
それはそれでロミオっぽいのかもしれませんが、個人的な好みは信念のあるロミオ。



次に①②ともに印象的だったことについて。

まず最初に言及するのもアレなんですが、ひばりのシーン。上裸ですが、ほっそい。腰がとにかく細くて、でも腕に筋肉はついてて……。腹筋割れてました?
ロミオを横から見るとあまりの腰の細さにどこに内臓入ってるのか分からなくなります。

ひばりのシーンはどこ見たらいいんだろうと思ってしまうのですが、腰の細さに気をとられてそれどころじゃなかった。



そして、なんといっても古川ロミオはとにかくセンシティブ。

①では大貫さんの「死」、②では宮尾さんの「死」で観劇しましたが、古川ロミオの♪僕は怖いは幼い頃から死の存在を察知している、センシティブな感性の持ち主なんだと思わせました。
そして、「死」に動かされているというよりは「死」が望む行動を無自覚にしてしまっている感じ。

ヴェローナのあらゆる不幸を象徴する大貫「死」の絶好のカモになってしまった古川ロミオが「死」の思うまま悲劇を自分で選んでしまうストーリーに見えました。
宮尾「死」はもっと象徴的に古川ロミオに纏わりつく「死」の擬人化といった印象。


古川ロミオは敏感にヴェローナにいる「死」を感じとっていたように思います。
程度の差はあれど、ヴェローナの争いを憂いていたんじゃないかと思う。
冒頭の「僕がいたら(争いを)止めた」発言しかり、バルコニーでジュリエットが二人の家について言及した時の反応しかり。

バルコニーで、ロミオは一瞬だけ引き下がろうとしてるように見えました。その瞬間というのが、ジュリエットが両家のしがらみに触れた瞬間です。
もしもジュリエットが家に縛られ叶わない恋に憂いているだけなら会いにいかなかったんじゃないかな。
けれどジュリエットは家に縛られないことを歌ったから会いにいったんじゃないか。

だから神父様にキャピュレットの娘と結婚したいと告白したときも、ことの重大性を理解しているように感じました。


でもこの古川ロミオの繊細さって死と絡んでいる時にしか表れないんです。少なくとも私にはそう見えた。
表面上のロミオは友達とバカやって♪世界の王では「オレ最強」ソングというか自分の力が強いことを信じてるみたいに歌う。そして確固たる信念があって「間違っている」と思うことは「間違っている」と言える。
脆さや繊細さをあまり表面には出していない。
唯一脆さを表面に出していたのはティボルトを刺したあとですが…人を殺してぴんぴんしてる方がおかしいのでノーカン。


それにしたってベンヴォーリオに守られているロミオはあまりにも弱々しくて痛々しかったです。


↑↑↑
最高に頭の悪そうな感想ですが、凄く印象的でした。
ロミオが弱々しい子供に見えた。ベンヴォーリオが守ってくれなかったら、あの数分間のうちに衰弱死しそうなぐらい。

それにしても両ベンヴォーリオのあの無償の愛っぷりが素晴らしかったです。
ヴェローナの女の子たちはロミオより正直ベンヴォーリオと付き合った方が幸せになれそう。ガチ恋枠はどう考えてもベンヴォーリオ。


閑話休題

ロミオは繊細だからこそ、自分のしでかしたことに堪えきれなかったんじゃないかと思う。 
それは自分の中の黒い炎を憎み自分にはジュリエットしかいないと歌うシーンで感じたのですが、あれ、完全に闇堕ちしてる。

とにかくあのシーンの闇っぷりがすさまじくて、このロミオはジュリエット死んだら自殺するに違いない。めちゃくちゃ怖い。


あの時のロミオは「両家の争いなんて愚かだ、自分はそんな黒い憎しみの炎を持っていない」と信じていたのに、自分にも他のヴェローナの人々同様に憎しみで人を殺めてしまう愚かしい人間だったと気付いてしまったのかも、と思います。


だってティボルトを殺してしまったシーンのロミオは妙にリアルで救いようがない男だったから。

①ではナイフを落とし、口に手をあててフラフラとどこかに行ってしまっていました。自分の行動が信じられていない感じ。

②ではティボルトを殺してしまったことに気が付き呆然としてナイフを落として走り去ってしまった。こちらは本能的に逃げていて、まるでひき逃げしてしまったみたいな印象。

その後姿を現すのも冷静になって自首しにきたみたいで、ちょっとリアリティがある感じが後味悪く尾を引きました。

しかもティボルトォー!って叫んでから刺すまでの一連の流れと顔を見ると、どう考えても殺意があった。というか殺すつもりはなかったとか何の冗談だよってレベルで殺意があった。
10人に聞いたら9人が殺意を認めるはず。ちなみに残りの1人はベンヴォーリオ。

フィクションであることに違いない演技なのに妙なところでフィクションぽくない印象を与えてくるシーンでした。


そして故郷からの永久追放を言い渡され、自分の愚かさを知って自我が崩壊しかかった中で、唯一の希望がジュリエットだったんじゃないかな。
どちらにせよ、だいぶ病んでます。

ジュリエットが死んだと知った後の薬売りのシーンも納得の病みっぷりです。もはや薬しか見てないですよね?薬を手に入れた瞬間にちょっと笑ってるように見えたのは気のせいだったかもしれないのですが、あのロミオは笑ってそう。






とまあ、長々と闇属性ロミオについて語りましたが、ちゃんとジュリエットとのロマンスもありました。
ありましたが、それ以上に、まるで「ヴェローナ物語」を見せられているようでした。



結論からすると、古川ロミオの『ロミオ&ジュリエット』はヴェローナロミオとジュリエットの犠牲によって「死」を克服する物語。

マーキューシオやティボルトの死、ロミオとジュリエットの死があまりにも惨め。
だからこそ大人たちの罰となったように見えました。

最後に「死」がイエス像の前で力を失うのも象徴的で、イエスの磔刑により人類の罪があがなわれたことを重ね合わせているのかな、なんて考察もできるんじゃないかな。



大野拓朗
こちらのロミオは一回しか観劇していませんが、とにかくピュア!!
私がイメージするロミオって大野ロミオです。
イケメンで、愛されてて、一途で、ジュリエットとの恋によってまわりが見えなくなってしまった青年。

あんまりにもピュアすぎて、なんでDQNなマーキューシオやベンヴォーリオと遊んでるのか分からないレベルで優等生なロミオでした。



たとえば仮面舞踏会に誘われたとき「見張ってる」と言って仮面舞踏会に行くのですが、嫌味がない。びっくり。
♪天使の歌が聞こえるも、背景のキラキラエフェクトの映像が多分二人から発せられてるキラキラに違いないってぐらいキラキラしてました。ピュアすぎる。

バルコニーでも♪月は姿を変える、あなたの愛も変わると言われると「そんなことない」と言いたげに笑って首をふるんです。その自信どこからー!!と言いたくなるぐらいに一途にジュリエットを愛してる。わんこっぽい。

そして、神父様がアロマの説明をしてるときも、うんうんって頷いていた。ちなみに古川ロミオはまた始まったよ…みたいな顔してた。大野ロミオ素直な良い子か。
でも、ここのあたりからロミオはジュリエットとの恋しか見えなくなっていました。両家の争いについても「愛さえあれば乗り越えられるよね!」みたいな、愛の障害としか見えていない。
でも、ある意味では争いなんて下らない、愛さえあれば!みたいな愚直さが神父様の心を動かしたのかもしれない。
そう思えるぐらい「何も見えなくなっているロミオ」でした。

幸せ一杯の♪エメで「死」がいるのも、なんでここで「死」がいるの?!こんなに幸せなのに!と感じた。
この時のロミオは僕は怖いなんて全く思っちゃいないんだろうなあ。


大野ロミオと「死」の関係って一対一のキャラクターのように感じました。
ロミオの敵として表れる死神みたいな印象。

♪僕は怖いや♪憎しみ~エメリプライズなどでは「死」(見たのは宮尾死)に翻弄され、踊らされている感じ。
大野さんは決してダンスが得意なわけではない、という技術的な面はあるのでしょうけど、激しく翻弄されるロミオと優雅に踊る「死」の対比は面白かった。


そして♪街中が噂してるぜ~でも、もうこのロミオはジュリエットしか見えてない。モンタギューの仲間も大切だけどジュリエットの方がもっと大事だ!の盲目感が凄まじい。
ロミオの頭の中では仲間たちに祝福される自分とジュリエットのビジョンがキラキラ輝いていたに違いない。
もはやこのロミオはどうしようもない。マーキューシオとロミオの噛み合わない感じがとても切ない。


ティボルトを殺してしまったときも、殺意よりも衝動的?本能的?に感じました。まさしく悲劇的な殺人というか……。なんでそんなことしちゃったの馬鹿ー!というもどかしさ。

ベンヴォーリオに庇われているシーンでは二人の子供が支えあってる印象でした。



次の♪憎しみ~エメリプライズでは自分の行動に後悔しているロミオ。びっくりしたのが、このシーンでもピュアのままなんですよね。少年漫画の主人公みたいな圧倒的ピュア力。決して闇堕ちなんてしないキラキラロミオ。
「死」との舞踏では♪僕は怖いの時よりもより激しく「死」に翻弄されていました。かわいそう。


そして薬で死ぬまで一気に駆け抜け、気付いたらロミオとジュリエットが死んでました。かわいそう。
なんでこんなピュアで良い子がこんなことになってしまったのか……大人たちのせいなのか。
二人の愛を目の当たりにした大人たちは改心してヴェローナに平和がもたらされたのであった。
ロミオ&ジュリエット完!


結論としては、大野ロミオのロミオ&ジュリエットは真実の愛が世界を救う系の物語でした。
ピュアッピュアの爽やか好青年が「死」との闘いに敗れ死ぬけれどジュリエットの愛がヴェローナを救う、みたいな。
凄く王道なストーリーでロマンス要素も強く、ハッピーエンド!!
幕間のツイートはこんな感じ。
↓↓↓



凄く頭の悪そうな感想だけど、2回古川ロミオの『ヴェローナ物語~ロミオ&ジュリエット~』を見た後だったので……すごく…ロミジュリだなって…笑。


ここまで物語が違って見えるというのも面白いです。
好みの差はあれど、両方別のベクトルで素敵なロミオでした。


ロミオだけで長くなりすぎたのでまたエントリー分けます。